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誰のための戦争だったのか
[手記コメント(4)]
 過ぎた戦争を日本は聖戦であると言った。人間爆弾と言っても過言ではない特別特攻部隊は、戦闘機一機に爆弾一個片道だけの燃料、二階級昇進した操縦兵一人で米軍軍艦に突入させた事は、当時私も何とも考えなかった。日本の教育が日本国のため、天皇陛下の為との教育であったからだ。多くの犠牲者を出して、日本全土に及ぶ大空襲と原子爆弾の投下によって焼けただれた大多数の死傷者を見ても、日本国の権力者幹部者達は本土決戦で勝つ自信がありますと天皇陛下に報告して、本土決戦を敢行と強気であった事、この時に天皇陛下は不信を感じてご心配の余り信頼できる数名に詳しく調査させたところ、対戦準備は全く出来ていなかったことを知って、昭和天皇のお考えで日本の国体と全国民の今後のことを心配されて、ポツダム宣言を受諾する決意をされたことなど、敗戦後数十年後に文芸春秋誌を読んで詳しく知る事ができた。

 私も当時、本土決戦の幹部教育を受けて、北部30111部隊藤原中隊の一人であったのだ。昭和天皇は日支戦争の時も大臣と参謀総長を読んで、蒋介石に戦争ではなく親密な国交をと語ったのに、戦争になってしまったことも読んだ。昭和19年には旭川の連隊に私は軍務中であった。この頃には日本軍には完全戦備の整った第一線部隊は急減してしまったことを聞かされたが、言葉にする事はできなかった。
 
米国と開戦の時も天皇陛下は、物資の多い大国と戦争になると、日本は鉄類の輸入が絶えてしまってこまる事になると言うと、米国と戦争になっても三ヶ月で勝つ事が出来ますと答えたと読んだ。平成19年10月8日夜10時のテレビで、当時の事は思い出したくもないという体験者数人が苦労の真実を語る放送を見て、第一線部隊でも5名か10名に小銃1丁という状態でも、上層部から○○を占領せよと命令があれば出動した。兵士の食料も充分でなく本当に苦しいものであったとかたっていた。日本はなぜ無謀な戦争を続けたのか、誰のためだったのか、戦後の日本の教育と政府では知る事は出来ないと思う。テレビの老兵達は戦備も食料も少ない、負傷しても行動を共にして全員決死でやっと占領したのに、あげくの果てに敗戦となり、なんとも言いようのない心境だったと語っていた。負傷して歩けない者を置き去りにしたり、死者がゴロゴロある戦場で連日過ごしていると、何にも気にしなくなってしまう。戦場では人間でない別の自分が存在して行動したのだと思っている。

過去の戦争は、どう考えても日本国として得たものは 何一つなかったと思う。どの戦争にも反対であった上級幹部将校も多数いたことを知ったのは戦後数十年も経過してからであるが、なぜ講和をして一休みすることを考えないで、戦争を拡大して本土決戦を計画の下で中年婦女子に竹槍訓練を教育したり、化学兵器も使用されていた時代に日本は何を考えていたのかと言いたい。

 私が本土決戦幹部教育の時にも、教官が竹槍教育のことを語り、そして 米軍艦が日本本土に侵攻して来た時に撃沈するのに、長い竹を用意して、各フシに穴をあけて空気が通るようにして、竹で空気を吸い乍ら 爆薬2個を持って海底を歩いて行って撃沈させるのだと言い、一つは自分が死ぬ時に使うのだと言った。一同がそんなバカな戦法では海の深さもわからないのにと言うと、自分は階級が上の教官の命令でやっているのだから、だまって教育を受けて欲しいと言われた。教官自らも皆と同じ事を考えるときもあると語った。

 初めて召集になった学校の先生達は、真面目に教育を受けて、教官が黒板に書いたのをノートに書き取っていた。戦地帰りの兵たちは休み時間になると数人集まって、本土決戦などやったら俺達犬死にだよ、と語り合った。藤原中隊が編成になっても自分の着用する物全部が私物であった。食糧の配給証明書と食器は持参したのだった。兵器と名のあるものは一つもなかった。本土決戦が敢行になると、各自に手榴弾を二個やるから一個は敵を殺すのに使って、一個は自分が死ぬ時に使うのだと幹部教育の時に言われた。

 書く事が前後してしまったが、教育の初めの教官の言葉の中に、本土決戦に一億玉砕の精神によって日本神国が勝ち得るのだととの言葉を思い出した。戦後静かに考えると、日本国としての権力の二文字が偉大な、強いものであったかを知る事が出来る。
日本は戦争について子孫に伝えたくない真実を隠そうとしている現在なので、新しく後期高齢者と言われるとうになった私たちが一人でも多く、思い出したくもない戦争のことをどんなことでも真実を書いて、子孫のために書き残すことが私たち高齢者の責務の一つだと考えて書いている。
 
歩行が不自由でも 未だ手と頭は普通なので、語り、そして書き続けたいと心にして過ごしている。


[手記コメント(4)]

Edited by じゅんか 2009-06-02 21:53:21
Last Modified 2014-08-16 21:18:51

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コメント


ここまで読んで、悲しみと憤りがこみ上げ、涙が出ました。
咲間さんは戦争を知らない私たちが想像を絶する悲惨な体験をされて、それが終わったのに今でも苦しんでおられるなんて。
それでも、思い筆を持ち、こうして書いてくださって、、、。
80歳まで毒ガスの事を言う事はできなかったとは、本当に当時の教育の恐ろしさを感じます。
一体、何の為の戦争だったのか。
数えきれない人たちの犠牲は、一部の上層部、特権階級の者の利益の為だったのか。

この貴重な手記が本になる事を願います。

もし本にならなくても、プリントアウトしてきちんと保存しておき、将来子供に読ませようと思います。

咲間さんがおっしゃるように、
>日本は戦争について子孫に伝えたくない真実を隠そうとしている
と私も思います。
戦時中の特権階級者の子孫が政治家にもいますしね。
教科書に書いてある年号と大まかな記述では全く不十分だと思います。

二度と同じ事を繰り返さない様、戦争の事はきちんと子供へ伝えたいと思います。

貴重な手記を書いて下さった咲間さん、そしてそれをこうしてWEBで公開してくださったじゅんかさん、感謝します。

投稿者:ともこ|2009-06-04 16:47:01


ともこさま

コメントありがとうございます。
咲間さんは 足がご不自由でもあるし、一人暮らしなので、ほとんど自宅でこもりきりで暮らしておられます。

毒ガスの話をする....といっても 近所の人や 息子さんくらいなものですから 多くの人に読んでもらえる機会は
とても貴重です。

ともこさんからのメッセージ、確かに伝えますね。
こうして 入力代行をしている私もしばしば 考えさせられます。

平和な世の中が来たらいいのにって 
みんな幸せに生きていければいいのにって
願ってやみません。

ありがとうございました。

投稿者:じゅんか|2009-06-04 20:48:28


わたしが思うといっても頭だけだと思うけど、書きます。

今で十分、不幸に生きている人がいっぱいな日本だと思う。色々あるけど、今の経済も国が勝てば、一つの会社や会社連合体が勝てば、という動きをしているせいが大きいと思う。働く人が元気に、まともな給料と安定した身分で働けてない。もっと上のレベルのとこが「勝つ」こと、優先。

これが戦争って、すーーべてに及ぶんだって思う。
教育→勝つための教え、戦略 鉄道・道路→軍優先です。安全もへったくれもない エトセトラ徴兵制・各機関・各個人 軍優先につかわれる。
今妊婦や怪我人・病人が救急車で運ばれても、病院受け入れてくれなくて手遅れ、とかあるけど、それも軍人、軍の戦略・秘密保持が最重要事項になる。。

終わってる。

戦争ってなんなの、って伝えなきゃね。
今教科書などで「正しい日本の歴史」を伝えようと頑張っている人がいる。あの戦争は正しかったのだ、と。

軍隊色がファッションになる。赤ちゃんも迷彩柄着てる。銃も趣味で売られる。第2次大戦って、どことどこと戦争したの?アメリカは日本の仲間だった?なんて、言う子どももいる時代。

もっと知らなきゃって思う。知らせあわなきゃって思う。
戦争体験を語るって苦しいことだって、大学生のときに教えてもらった。戦争ってそういうもんだったって教えてもらった。淡路・阪神大震災の被害でも十分目の前にすると苦しくて気が変になりそうだったのに、戦争ってこんなもんじゃなかったんだって思った。

伝えてもらって“感じて”わかるうちに、できることしなきゃって思うので、怠けてる自分を起こしてもらって、ありがとうとすまないのと両方です。
この手記は印刷して回したりして、いいんですよね。身近に憲法9条の会とかいうのがあるので、まず渡してみます。つなげてみたい。

咲間さん、じゅんかさん、ごめんなさい。ありがとうございます。

じゅんかさん、子どもたちには何をしたらいいと思う。親の感性で一緒に考えていきませんか。何ができるだろうか。小さい子には。

投稿者:ははあいす|2009-06-05 06:04:42


ははあいすさま

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いかに生きるか、過去の歴史をどう生かして行くか、というのは 私にはわかりません。

幼児に戦争の歴史を教えるセンスは私にはないので 学齢期にゆっくり考えます。
今を生きる私たちの宿題かもしれませんね。

投稿者:じゅんか|2009-06-05 09:02:59


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