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平八郎さんのおはなし/【食料の調達】
[寄稿]
 行軍中、途中にあった集落で休憩することになって、食料として豚を丸々一匹もらってきたものの(そんな酷いようなことして貰ってはこなかった、と祖父は断りを入れていた)、絞めるための刃物を持ち合わせてなく、どうしたものかと思っていたら上官がのこぎりを持ってきて、生きたままのこぎりを曳いて殺してしまったんだけれど、ずっとピィピィ鳴いていて、あれは可哀そうだった、と。

また、別の時に数人で食料探しに出かけた折、どこかから中国兵が撃ってきたのだけれど、仲間同士で「ずいぶん下手くそだなァ、ははは」とか冗談いいながら駆け抜けたことがあったそうで、特に怖いとかいうことはなかったよ、と。
「ただ、思えば、精神が麻痺していたんだろうな」と、初めて祖父から「精神が麻痺していた」という言葉を聞いたのがこの話のときだったのをよく覚えています。祖父が生きてるうちに自分の半生を書いた手記でも、戦中のくだりでこの「精神が麻痺していた」という言葉が使われていました。

 ほかにも、海軍の物資が落下傘で降りてきたから見に行ったら一番乗りで、周囲にだれもおらず、しかも落下の衝撃で破れた包からは角砂糖がこぼれ落ちてて、海さんはいいもの食べてるなぁ…と思いながらさっさと拾い集めて戻った話や、輜重隊だったので軍への食料の発注や受け取りもすることがあったので、そのときに米を定数よりも1俵多くごまかして皆で食べた、という話も。その時は一人で1升食べた、と言ってました(笑)食べ物に関わった話は祖父の話してくれたものでも多かった印象ですね。

ちなみに、お風呂については一カ月に2回入れればいいほう、とは言ってました。

(令和元年 5月25日 天野 記)


[寄稿]

Edited by じゅんか 2019-05-27 10:02:36
Last Modified 2019-11-21 08:01:05

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