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平八郎さんのおはなし/【殴られた少尉から缶詰を貰った話】
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これも行軍中の話で。
皆が自分の武器や背嚢はもちろん、鍋だのたらいだの、これ以上持てない程に荷物を持って行軍していたら、ある少尉が疲れたらしく、祖父と隣で一緒に歩いてた人へ自分の荷物を寄越して「貴様ら、コレを持て!」と言ってきて。
とはいえ、自分達もこれ以上は自分も持ちようがないので「持てません!」と答えたら「たァけだ、貴様ァ!!精神を入れてやる!!」と二人でぶん殴られた、と。
その後しばらくすると、その少尉が缶詰を幾つか持ってきて、さっきはすまんかった、と謝ってきたもんだから、二人で珍しいこともあるもんだなぁ…とキョトンとしたそうな。
殴ったことが中隊長の耳に入ったのか中隊長が見ていたのか、恐らく中隊長から何か言われたんじゃないか、と。
当時、二等兵か一等兵だった祖父が言うには「少尉と言ったら雲の上の存在」ということでしたが、咲間さん曰く、たとえ上官でも戦地で好きにやってると味方から弾が飛んできてやられることもあるから、上官でもあまり意地は張るもんじゃないんだ、ということでした。
 ちなみに余談ですが、「貴様ァ!」の言い方は『太平洋奇跡の作戦キスカ』という映画で、上官に反抗した兵に対して同じように「貴様ァ!」と言うシーンがあるんですけど、この映画の発音と全く同じなんですよ!(笑)

(令和元年 5月25日 天野 記)


[寄稿]

Edited by じゅんか 2019-05-27 09:55:36
Last Modified 2019-11-21 08:00:35

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