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平八郎さんのおはなし/【飯盒をすり替えた話】
[寄稿]
 ある行軍の休憩時間。
ご飯を炊く水を汲みに飯盒を持って川辺に向かうと…途中、周囲にだれもいない焚火に飯盒がかかっていたそうで。
その時は素通りして、水を汲んで折り返してくるとまだ焚火に飯盒がかかっていて…やっぱりだれもいない。
でもよく見れば、その飯盒はちょうどご飯が炊けている感じだったので、水を入れたばかりの自分の飯盒と挿げ替えて、何食わぬ顔で班の仲間のいる焚火に帰った祖父でした。
「もうご飯炊けたぞ」って言ったら「水くんだばかりでそんな話あるか」と。そりゃぁ言われるわな。
「ヤァ、途中だれも見てるのおらん飯盒が火にかかってて交換してきたんだ。今頃、ご飯がなかなか炊けんと不思議がってるだろうなァ…」って言ったら無用心だなぁってみんなで笑っておったよ、と。
 厳しい父だった、と家族からは聞いてますが、こういうひょうきんな部分もあったようです。

(令和元年 5月25日 天野 記)


[寄稿]

Edited by じゅんか 2019-05-27 09:52:26
Last Modified 2019-11-21 08:00:26

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